7月16日
5時50分、アラームが鳴る。今日も10分間のお絵かきタイム。始めて5日目なので、そんなに早く力がつくわけでもなく、完成した絵を見て「うわー」と叫ぶ毎日だ。今日は昨日と同じコーヒーカップを描く。昨日があまりに恥ずかしかったので、リベンジだ。うん、毎日同じものを描いて一か月の進歩を見るのも面白かったかも。でも、自分の性格から言うと、確実に飽きちゃうね。
まず、上の飲み口を描く。これは昨日もうまくできた。次にボディの輪郭を描く。昨日はここで失敗した。途中では気づかなかったけど、完成したカップはつぶれていたのだ。今日は昨日の失敗作も見ながら描く。よし、つぶれてない、はずだ。次に取っ手。ここは芸がないで昨日と方向を変えた。向こう側にちょっとだけ見える取っ手。これが上手く描けたらOKだろう。
全体の形を確認する。不自然な所はない。よし、ここから陰影をつけていく。暗い所と反射で光ってるところを塗りわける。絵や字も今日はしっかり描きたい。
今回はいいんじゃない?けっこういいんじゃない?
やよいさんにメールを打つ。今描いた画像を添付して。今日はけっこう褒められるんじゃない?
おととい、やよいさんにメールを打った。
「毎朝10分だけ絵を描くことにしました。」
すぐに返事が来た。
「明日から、できた絵を送って。」
昨日が初メール。やよいさんの返事は、「頑張ってるね。明日もファイト!!!」だけ。コメントする以前の問題ということか。さあ、今日はどんなアドバイスが来るだろうか。
「かあさんおはよう。」
「おはよう武志、ごはんできてるよ。」
「ありがと。」
「今日は何時の列車?」
「7時ので行く。」
「それじゃ、ビニールごみ出していって。」
「了解。」
ビニールごみを回収ボックスに叩き込み、自転車を走らせる。
自転車通学(と言っても駅までだけど。)をはじめてから、天気の変化を前より感じるようになった。遠くの雲やもやっと霧がかかってる様子を見て、「ああ、もうすぐ雨だ。来るぞ。」なんてこともわかってきた。なんか、野生児だな。今日は青い空。シエロってこんな空かな、なんて想像する。スペイン語だって空は空だから、いろんな色があるはずだけど、なんとなく真っ青な空がシエロって言葉に合ってる気がする。
駅は、6時台と7時のでは乗客が違う。学生が多いのは同じだけど、6時の学生は、なんか頑張てる感がある。7時の列車は、なんとなく普通の人が多い。(実際に普通かどうかは、知る由もない。)
やよいさんから返信がきた。
武志くんおはよう!
昨日と同じモチーフだね。うまく描けてるよ。なにより、昨日よりも丁寧に描いてるのがわかる。絵って、描いてるうちにだんだん疲れてきて、最後はテキトーになっちゃうことが多いんだって。実は私もそう。絵の才能って、最後まできちんと描き続ける力だっていう人もいるくらい。 ひとつだけアドバイスするね。飲み口のカーブと、底のカーブ、本当にそうなってた? |
写真を開いて自分のデッサンを見てみる。うーん、特におかしいと感じないんだけどな。でもまあ、今度やよいさんに会ったら聞いてみよう。
もうすぐ夏休み。部活も多いけど、1週間連続で休みなのがうれしい。夏の計画も着々と進んでいる。ちょっとドキドキするけど、楽しみでもある。どんな計画かって?それはまだ秘密。